槇文彦アーカイブ

EN
TOP

2023年度

2023年度は、槇作品について4つの特質に着目して研究対象としました。

特徴的な質感の構成
研究者:滑川寛(環境B2)

キーワード
・アクセントとして特徴的な小さな部品をつける
・ロビーやアトリウム空間のガラススクリーン奥の壁に用いる
・建物ボリュームのひとつの「面」を強調する部分に用いる
・建物全体に用いる

槇建築はコンクリートや金属など明るいモノトーンの印象が強いが、色や地域の素材など特徴的な質感を使う手法も見られる。それらがどのような意図によるのか興味を持ち、槇建築の中で明確な彩度を持つ部分について調査と分類を行った。 こうした特徴的な質感は、建物の内外において、見せたい部分を強調したり、人の視線を誘導したり、建物の透明感を作って室内の人の動きを強調することに使われたりする。そして街全体に対しても、現代性とその場所の地域性を融合させる役割を果たしている。 建物全体の基調色として用いることは、慶應三田校舎などで見られるが、比較的少ない。

SFCでフレーミングが生む効果
研究者:榊原昌和(環境B3)
   

キーワード : 絵画効果、見通し効果、覗き見効果

槇建築では印象的に眺めを切り取る手法が上手に使われており、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスでも多用されている。建築で視界を限定する手法が、SFC キャンパスでどんな効果を持っているか興味を持った。槇建築の集合体であるSFCで開口のフレーミングの意図を分析するために。フレームの外に隠された部分を合成した写真を作成して単純な視野との差を探ってみた。開口部などがこうした視点からも決定されることで、緑あふれた開放的なキャンパスを舞台美術のような芸術作品のように感じさせているように思われる。
・絵画効果
見慣れた風景を切り出し、もうひとつの風景を生み出す。まるで壁に掛かった絵画のように感じさせたり、普段の広い視界からあえて多くを除くことで、異なる風景を体験させる。そのために丁度良いフレーミングとなるよう、見る位置がさりげなく決められている場合もある。
・見通し効果
SFCにはワイドなビューが豊富だが、それに対して屋内外を貫き奥深く切り取られたビューが、配置計画の軸線を強く感じさせる。
・覗き見効果
階段や廊下など閉鎖的になりやすい空間に設けられた小さな開口によって、どこにいてもSFCにいることを意識させられる。  

スパイラル空間体験絵巻
研究者:塚田匠(総合B3)

キーワード : スパイラルのシークエンスにおける空間変化の豊かさ

槇槇建築の中を歩いていると、その空間変化の豊かさに魅了される。ここではスパイラルを取り上げ、歩行者が経路を辿るときに感じる空間のシークエンスを客観的に分析できるよう、絵巻物のように展開して表示する方法を試みたところ、その変化の作り方にいくつかのパターンが見えてきた。 
一、  徐々に変化する床の高さ、急に変化する天井の高さ。
二、  不意に今来た道を振り帰らされたと思えば、その先には全く違う空間が広がる。
三、  体の向きの変化とともに、見えるものが左右に変化する。  

集合体がつくる奥性
研究者:小林絵真(総合B3)

キーワード : 奥性マップの作成

日々、大学で槇建築に触れ合う中で奥性の構成について興味を持った。奥性を分析するにあたり、集合体として代表的なヒルサイドテラスと慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)を対象に、奥が深まるにつれて濃くなるルールに基づいて「奥性マップ」を作成、可視化した。奥性について、ヒルサイドテラスでは空間の用途ごとにガラスや段差などを使い奥性を変えている。SFCではひとつの都市の街区のような空間要素が垣間見れた。   

謝辞
慶應義塾大学SFCと槇文彦ルームについて
SFC寄附講座「槇文彦建築とアーバニズム思想」について
槇文彦アーカイブは、槇文彦氏と槇総合計画事務所の.多大なご協力により実現しています。

また「槇文彦建築とアーバニズム思想」は株式会社竹中工務店様による寄附講座として開講されました。 

ここに感謝の意を表します。
1858年に福澤諭吉により設立された慶應義塾大学の11あるキャンパスのひとつとして、神奈川県藤沢市に1990年に開設された湘南藤沢キャンパスは、槇文彦氏が全体計画と主要な建物を設計しています。そのキャンパス中央にあるメディアセンター4階に、槇文彦アーカイブの活動拠点として「槇文彦ルーム」を設置し、今後、活動の状況や保管資料の一部を展示および紹介していく予定です。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス寄附講座「槇文彦建築とアーバニズム思想」は、2021年度~2025年度の5年間、以下の授業担当者(肩書は当時)によって運営されました​。

政策・メディア研究科 特任教授 池田靖史
政策・メディア研究科 教授 小林博人
慶應アートセンター  教授 渡部葉子
政策・メディア研究科 特任助教 大沼徹

政策・メディア研究科 非常勤講師
▢▢
ドン・オキーフ(2021年度)